なぜ? 子どもたちの腕の力がフニャフニャに… 失われた「遊びの経験」の重大性

この記事は、三兄弟を育てながらピアノ教室を主宰するさやか先生が、日々のレッスンで感じた現代の子どもたちの身体の変化と、その背景にある「遊びの時間の不足」について気づいたことを語っています。
音声配信をもとにした記事です。
遊びの減少が腕の力を奪っているのか?!
冷え込みの中で感じた、子どもたちの身体の異変
おはようございます、こんにちは!三兄弟を育てながらピアノ教室を主宰しているさやか先生です。
今朝はグッと冷え込みましたね。私の住む茨城では、水戸で初雪が観測されたと聞きましたし、こちらでも霜が降りる日が増えてきました。凍ったキャベツや白菜を見て、「なんで氷がつくのかな?」と子どもたちと話しながら登校するのも、冬ならではの楽しみです。
さて、今日は日々のレッスンの中で私が強く感じている、ある変化についてお話ししたいと思います。
それは、「腕を使った遊びや経験が、相対的に少なくなっているのではないか」ということです。
ピアノレッスンで見えた「腕の力の変化」
ピアノは、指の力だけでなく、腕と体の重みや力を使って弾く楽器です。しかし最近、特に小学校中学年以下のお子さんたちを見ていると、以前の平均と比べて腕の力が非常に弱いと感じることが増えました。
もちろん、これは私が数値を測ったわけではなく、あくまで長年の指導で培った肌感覚です。しかし、この変化は本当に驚くほどで、「時代なのかな?」と思うほどです。
今の中学生や小学5・6年生くらいにはあまり見られない傾向が、4年生、3年生、そしてそれ以下になるにつれて顕著になっています。これでは、ピアノを弾く以前に「縄跳びを飛ぶのも大変だろうな」と感じるほど、腕を使う動作が苦手な子が多いのです。
驚きの事実:「振り下ろす」動作ができない!?
腕の力を使うことは、ピアノで音量のコントロール(フォルテやピアノ)をする上で非常に重要です。そこでレッスンに腕を使った運動を取り入れていますが、最も驚いたのが**「腕を振り下ろす」**という動作ができない子が多いことです。
具体的には、「腕を頭の上に上げ、拳を頭の後ろに持っていって、**ドンッ!**と振り下ろす」という、一見簡単な動作です。
- 昔の子(今の小5・6年生以上)は、自然にできる子が多かった。
- 今の低学年は、この動作自体が難しい、あるいはぎこちない。
これは、日常生活の中で「自分の手を使って思いっきり何かを叩く、振り下ろす」という経験が少なくなっているからではないかと推測しています。
太鼓が叩けないと、ピアノの音量コントロールも難しい
腕を振り下ろす動作ができないと、まず困るのが太鼓を叩くことです。太鼓を力強く叩けない(=腕の重みと速さを使えない)と、当然ながらピアノでも大きな音(フォルテ)が出せません。
グランドピアノなどで「もっと強く弾いてごらん」と言っても、微妙な音量のコントロールができず、極端に叩きつけるか、弱すぎて音にならないかの両極端になってしまうのです。
スティックの持ち方にも表れる「経験不足」
さらに、スティックの持ち方にもその傾向は表れます。
本来、スティックは人差し指と親指で軽くつまむように持ち、腕を振り下ろした後の「反発力(跳ね返りの力)」を利用して音を響かせます。昔の子は、この「跳ね返り」を自然に使えました。まるでバスケットボールのドリブルのように、弾みを活かしていたのです。
しかし今は、強くギュッと握りしめてしまう傾向が強く、反発力を全く使えずに終わってしまいます。この「使い方」を学習しないと、ピアノでの細かなコントロールも難しいのです。
30分のレッスンでは足りない! 遊びの時間の不足が招く身体の変化
この「腕の使い方」は、週に一度の30分のレッスンだけで教え込むのは正直難しい、日々の生活の中で自然と獲得していくものです。
では、なぜ現代の子どもたちからこの「獲得の機会」が奪われているのか。これは私の意見ですが、学校、幼稚園、保育園の全てで、自由な「遊びの時間」が決定的に足りないのだと思います。
1. 減少する自由な遊びの機会
- 学校や放課後: 自由に外で遊べる時間が減り、集団下校や施設利用時間の制限で、校庭で遊ぶ機会も少なくなっています。
- 学童や習い事: 学童では目の届く範囲で過ごし、学習系の習い事に通う子は体を動かす機会がさらに減少します。
- 幼稚園/保育園: 「お外で遊ぶ時間」が減り、「ひらがな」や「体操教室」など、目に見える成果が出やすい学習的な時間が増える傾向があります。安全性の問題から、ストライダーや遊具の使用が制限されるケースも増えています。
目に見える成果が出やすい「学習系」に親御さんの期待が集まるのは理解できますが、その結果、人間という動物の体を支える土台が弱くなっていると感じずにはいられません。
2. 「体幹」の弱さにつながる腕の経験不足
腕を思い切り「振り回す」遊び(ボール投げ、落ち葉掃きなど)をすると、腕の重さに体が振り回されないよう、自然と腹筋や背筋といった体幹が働くのです。
腕を満足に使った経験がないと、体幹が弱くなり、小学校で45分間座っていられないといった問題にもつながりかねません。これは、ヘニョヘニョな体で、ピアノを弾く以前に日常生活を送る上でも不便が生じるということです。
3. 変化する「ケンカ」のスタイル
子どもたちのケンカのスタイルを見ても、この変化を感じます。昔は反射的に腕で殴りかかることが多かったように思いますが、最近の子どもたちは、よりダメージが大きい足で蹴り飛ばそうとするケースが多いように感じるのです。これも、無意識のうちに「腕を使うことに慣れていない」ことの現れかもしれません。
意識的に「腕を使う経験」を得て欲しい
長くなりましたが、本当に危機感を持っています。
私たち大人が、安全に配慮しつつも、腕を思い切り使う遊びや動作を、意識的に子どもたちに積極的に経験させることが必要です。
レッスンではリトミックなどを通してこの動作を取り入れていきますが、ご家庭でもぜひ、
- ボールを思い切り投げる
- 思いっきり縄を振る
- 落ち葉掃きや雪かきを手伝う
など、身体全体を使ったダイナミックな動作を取り入れてみてください。
皆さんも、最近のお子さんを見ていて、「そういえばそうだ」と思い当たることがありましたら、ぜひコメントなどで教えていただけると大変励みになります。
ではでは、今日もお疲れ様でした!
「好き!」を大切にしたレッスンで、音楽をもっと楽しく!!
まずは体験レッスンから、お気軽にご相談ください!
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